スパイク・リー監督作品です。
あー戦争は嫌だー。
なんと不条理なものなのか・・・とつくづく思う作品です。重い作品です。
定年間近な黒人男性が、ある日殺人を犯す。善良な一市民の彼が、なぜいきなり人を殺したのか・・・。
時を遡り1944年。第2次世界大戦時、4人の黒人米兵がイタリア・トスカーナ地方で、(不思議な力を持っていると、一人の米兵は信じている)少年を保護する。誰にも見えない”友達”を持つ少年と過ごすうちに、ある悲しい出来事が明らかになっていくが・・・
イタリア人、アメリカ人、ドイツ人、国は違っても思いは同じ、
神様に祈りを捧げるのも一緒、戦争を終わらせたいのも一緒、
(ナチス将校に「戦争は嫌だ。早く家に帰りたい。」と言わしてます。)
でも狂った心を持ってしまった人も、どの国にもいる訳で・・・。
つくづく戦争は嫌ダ、主義主張も無視される暴力だ。
アメリカの人種差別を取り上げてきた監督が、今作品では、それに留まらず、戦争を通じて人種、国を超えて持つ思いを描いています。
ただ、やはりスパイク・リー。
黒人に対して偏見のないイタリアで、兵士の一人が「ここいると自由を感じる。外国で自由を感じるなんて」と嘆くシーンがあったり。
差別を受けた当人しかわからないニュアンスのエピソードが盛り込まれていて、ハッとさせられます。
そして、殺人を犯す理由が明らかになる謎解きの要素が加わって、
おまけにキーパースンである少年が、見えないものが見える・・・というますます謎な一面を持っていて、どんどん引き込まれ、2時間43分があっという間。心を打ちます。
セントアンナの奇跡 R-15
7月下旬公開
http://www.stanna-kiseki.jp/